思い出

彼がパリで単身赴任を始めた頃

2019年の秋頃、彼はパリに駐在員として単身赴任し始めた。

この時は私達はまだ、ただのブログ、Twitter友達だった。

彼はパリに住んでいることは、ブログやTwitter仲間には内緒にしていた。

海外に住んでいることに気付いた私だけが知っていることだった。

その頃私は、パートの仕事を辞めたばかりで専業主婦だった。

自由な時間はたっぷりあったし、不規則な生活をしていた。

その時はサマータイム中だったので、日本とパリの時差は7時間。

私は家族が寝静まった頃、彼とTwitterのDMでやりとりを始めた。

最初のきっかけは、私がブログ友達から故意にアドセンスのクリックをされていることについての相談だった。私にはそんなことを相談できる人は彼しかいなかったから。

きっかけはそのことだったけど、他にもたくさん他愛のない話をし、夜中の2時過ぎまで2時間くらい2人で話をしていた。

週末にそれが2回くらい続いた。

彼は、高学歴で高収入で海外勤務をしていて…

それに比べて私は、何の取り柄もない田舎暮らしの平凡な主婦。

私にとって彼は、現実社会では知り合うことがきっとないであろう存在だった。

ネットの中でだから知り合うことができた。

でも彼はいつもフレンドリーに接してくれて、それまでにもお互いちょっとした相談にのったりしていたので、私は元々彼に好意を抱いていた。

「こんな人と結婚できれば、女は幸せになれるんだろうな」

そう思った私は、この時彼にこう言った。

「裕さん、来世では私と付き合って下さい」

彼は即答で

「いいよ~」

と言ってくれた。

この時は、私は半分は本気だったけど、半分は冗談で言ったセリフだった。

彼もそれをわかっていたと思う。だからいいよ〜なんて即答してくれたんだよね。

後に恋人関係になってから、私達はこのやりとりをもう一度することになる。

来世では私と結婚して下さい。

私は本気で彼にプロポーズした。