男と女が恋に落ちる瞬間は、本当に些細な出来事がきっかけになるのかもしれない。
結婚生活が20年以上たっている私は、恋をすることなんてもう2度とないと思っていた。
そんな私が今は裕のことを愛している。
きっかけは私がネットで知り合ったAさんのことを好きになってしまって、どうしたらいいか相談したことが始まりだった。
裕とは恋人関係になる1年以上前から、ネット上で知り合いだった。
ずっと普通の友達だったのに、今はかけがえのない大切な人になっている。
他の男性を好きだった私が…その人のことを想うと涙が止まらなくなってしまうほど、好きだったのに、相談をしているうちに裕のことを好きになっていた…
いつ、どのタイミングで裕のことを好きになったのかはわからない。
でも私のことを真剣に想ってくれる彼に、私の心は完全に奪われていた…
私は過去にある依存症だった。ギャンブルではない。
Twitterは2つのアカウントを持っていて、1つは依存症の私としてのアカウントだった。
そこで知り合ったギャンブル依存症を克服したAさんのことを、私は好きになってしまった。
Aさんは既婚者だけど、心の中に大切に想っている女性がいた。Aさんにとってはその女性は生きる希望らしい。
私が「好きだよ」と言っても、全く相手にされなかった。
「そんなこと言われても、喜べないな。困るだけだ」と。
でも私がAさんが大切に想っている女性のことを羨ましいって言うと、Aさんは
「雫のことも大切に想ってるよ。恋愛感情抜きでね」と言う。
私はただもてあそばれているだけなのかもしれない。それを裕に言うと
「僕はもちろんその人のことを知らないけど、例えば雫さんのことを大切に想ってるよ、って言えるけど?それとなんか違うんかね?」と答えがきた。
大切な人とか、大切に想ってるって、私は軽はずみで言えないから、男の人って感覚がちょっと違うのかなと思った。
だって「君のことを大切に想ってるよ」なんて言われたら、私はドキッとしてしまう。
ただの友達の延長だなんて思えない。それって特別な感情があるんじゃないの?って勘違いしてしまうよ。
でも裕にとっても「大切に想っている」人はきっとたくさんいるはずだ。
「複数いるうちの1人ってことか…」
この時、そう私は裕に言った。
今でも裕にとっての「大切な人」は複数いるはずだ。
家族であり、友人であり…
私のことだけを大切に想って欲しいなんて、贅沢なことは言わない。
でもあなたにとっての「1番大切な人」に私はなりたい。
それはね。あなたのことを愛しているから。
私にとって裕が「1番大切な人」であるように、あなたにとっても私が「1番大切な人」でいたいの。
いつまでもね…