元ギャンブル依存症のAさんのことを好きになってしまった私に、裕は3つの選択肢を提示した。
①家庭を捨てる
②苦悩しながら今の関係を続ける
③キッパリ関係を絶つ
「②で雫さんが耐えられるならそれでいいと思うけど。あと、②は相手次第で終わるから、それも込で受け入れられるか」
「①はない」
「だよね…」
「②と③で毎日毎日悩んでる。毎朝毎晩、今日はやめとこうか。そう思って…。でも続けてる…」
「やめたら相手は何か言ってくるのかな。今日は連絡ないじゃん、とか」
「わからない。シレっと言ってきそうだけど。たまに、向こうから挨拶してくるよ。本当にたまにだけど」
「僕は②で明るい未来があるとは思えないけど。どっちにしても雫さんが泣いちゃうことになるのかなって。だからお勧めしません」
「では③ってこと?」
「普通はそうとしか言えないよね…。その人のことを思いながら毎日悩んでるんでしょ?いつかその人は他の人とくっついて、連絡がなくなるかもしれないって思うけど…」
「でも今、失いたくないの」
「その時に泣くか、今泣くかの違いじゃないの?」
「ずっと泣いてるよ…」
「うん…。だからもう泣くのをやめて欲しいって思うの。僕は」
「でも、きっぱり断ち切っても気になってしょうがなくて、辛いよ」
「スマホもパソコンも全部ぶっ壊す。しばらくそれで過ごす。ちょっと荒治療だけど」
「無茶言わないで…」
「でもさ。俺もそれやったことあるで。自分で携帯へし折った。そうしないと自力で切れなさそうだったから。昔はガラケーだったから折ることができたけど…」
「そうなんだ…」
「自分の心は自分でしか止められないよ…。気になるのはわかるよ。好きなんだから仕方ないでしょ?でもそのままだと辛いだけじゃん。いつかは決断しないとダメだと思う」
「いつか私の気持ちが冷めてくる時がくるのかなとは思う。でも今、断ち切った方がいいと思う?」
「僕はそう思うけど…。少なくとも毎日LINEは…。せめて、たまに元気?くらいならわかるけど」
「そういうことか…。断ち切るって完全に拒否するかと思った」
「いや、いきなりそれが出来ればベストだけど、少しずつ間を置けば少しは落ち着くんじゃないかなって」
「そういうやり方もありかな?私、完全に切るか続けるかだと思ってた」
「まず朝晩をどっちかにする、そのうち数日おきにする、1週間おき…そんな感じでさ」
「わかった。朝だけにしたり、1日おきとかにしてLINEする回数を減らしてみる」
「じゃ、早速今週から。今週はどうしますか?」
「明日は私からはしない」
「明日だけ?いつ送るか決めた方がいいよ。自分の中でノルマ決めたら?」
「そうだね…。夜は長く話しちゃうからやめる。朝は月水金で…」
「わかった。じゃ、来週末テストします。ちゃんと守れてるかどうか」
「よろしくお願いします…」
こうして、私はAさんと少しずつ距離をとることにした。
この時、私と裕は深夜3時過ぎまで、3時間もTwitterのDMで話をした。
私達はこの日から今日まで、DMやLINEでのやりとりを1日もかかしたことはない。
裕が出張に行ったり、私が体調悪くて早く寝てしまう時もたまにあったけど、必ず連絡はしていた。
ほぼ毎日、何時間も話をしている。
だから遠く離れていても、いつも裕を近くに感じることができる。
私達は心で繋がっているから…