過去の話

過去の話②

私が好きになってしまった、ギャンブル依存症を克服したAさんは闇を抱えている人だった。

奥さんとは家庭内別居状態。話を聞くと、奥さんはパートの仕事をしているが、家事は洗濯しかやらないとのこと。

まだ小学生のお子さんがいるのに、夜ご飯を作るのも、洗い物をするのも、翌朝のお米を研ぐのも、掃除やゴミ捨ても全部Aさんがやっていた。

それに奥さんは浮気をしていた。朝帰りする日が日に日に増えていき、下着も派手になっていったそうだ。

私はAさんと毎日のようにLINEで話しているうちに、思わず自分の想いを伝えてしまった。

「好きだよ」と。冗談ぽくだけど。

Aさんの返事は「そんなことを言われても喜べないな。困るだけだ」だった。

 

Aさんはいつも、「俺にハマるな。俺のことなんて心配するな」と私に言っていた。

でもある日、Aさんが酔っていた時に

「本音言うと旦那を大事にしろって言ってるけど、雫とSEXしたいよ」と言われた。

私はネットで出会った人とは、男性でも女性でもリアルに会うつもりは全くなかった。

なので、「私はあなたとは会わないよ。絶対に会うことはないから」と言った。

次の日にAさんは「昨日はちょっと酔っていて、変なこと言ってしまって悪かった」と謝ってきた。

後に、Aさんの心の中にはとても大切に想っている女性がいることを知ることになる…

 

ここまでの話も、裕は全て知っている。

私がAさんのことを裕に相談した時に話しているから。

私が彼にAさんのことを相談した時、彼は「会うだけで止まらないと思うよ。1回だけ、会うだけ、とかってことにはならないと思う。気持ちが高ぶってきちゃうから。だから絶対に会わない方がいい」と言われた。

私はAさんに会うつもりなんて全くなかった。もちろんSEXなんてする気は、1mmもなかった。

今思えば好きっていう感情は少し違ったのかも。

ただ、死なないで欲しい。生きていて欲しいという気持ちが、好きだと勘違いしていたのかもしれない。

今、裕のことを心から愛しているから。その想いとAさんに対する想いは明らかに違うとわかるから。